低コストなSmartDFEソリューション

 今回は、英国Global Graphics Softwareが開発したSmartDFEの低価格ソリューションを紹介します。バリアブル印刷への要望が増えてきています。その用途のほとんどがフルバリアブルではなく、住所、QR・バーコード、シリアル番号などページの限定的要素のバリアブルデータを処理するものです。当社では、フルバリアブルをオンザフライRIPで対応できるSmartDFEも当初から提案していますが、今回はポーションバリアブルを中心に据えた低コストなSmartDFEソリューションを紹介します。

 当社のSmartDFEでは、前段に当社のグループ企業であるベルギーHYBRID Software社のCLOUDFLOWを備え、特定のワークフロー処理を前処理し、プリントレディPDFを出力できる仕組みを備えています。この部分は変更が無いため、今回は説明を割愛します。

 ポーションバリアブルPDFを処理するSmartDFEでは、Harlequin Direct内部のHQN Direct RIPでExternal Harlequin VariData (eHVD)機能を使用しているのが特徴的です。この機能を使用することで、Harlequin Direct PCの数を減らすことができ、大きなコストダウンが可能になります。Harlequin Direct RIPにはScreenPro(+オプションでPrintFlat) が搭載されており、RIPで生成されるコントーンCMYKイメージデータを濃度補正を行った後(PrintFlatを使用した場合)、スクリーニング処理を適用します。ちなみにHarlequin Direct RIP内のHarlequin Core RIP/ScreenPro/PrintFlatは、Global Graphics Softwareがすべて開発したものであり、すべてのソースコードを保持しており、100%コントロール下にあり、どのようなOEM要望にも応えることが可能です。

 eHVDは、PDF内部をプリスキャンし解析して、固定のページ背景画像と多くのバリアブルデータ画像を生成します。固定のページ背景画像は予め当社グループ企業である英国Meteor Inkjet社のMeteor board上のメモリーにダウンロードされます。一方、バリアブルデータ画像は、印刷しながらMeteor board上のFIFOメモリーにダウンロードしながら印刷します。完全なページ画像は、Meteor Mixed modeを使用し、Meteor board内のハードウエアにより固定のページ背景画像とバリアブルーデータ画像をマージしながら生成され、インクジェットヘッドへ送り出されます。 ちなみに、eHVDは、PDF/VTの他、通常のPDFも入力可能で、eHVDがPDF内部をスキャンし解析し、どこの部分が全ページで固定データーとなる箇所か、または可変データー箇所になるかを判別します。

 固定ページの繰り返し印刷の場合は、バリアブルデータが無い場合と同じであり、同じ仕組みで対応できます。また、フルバリアブル印刷の場合でデーター転送スループットに問題がなければ、RIPアヘッドモードで先に全ページのRIP処理を行い、生成されたページ画像をHDDに保存し、その後印刷時に順次Meteor boardに送り出すことで対応可能です。Global Graphicsでは、PDFジョブのRIP処理速度の予測を可能にする技術をAIを使用して開発しており、それで開発されたAIモデルをStreamline Directに搭載することを考えており、自動的にRIPアヘッドモードとオンザフライモードとを切り替えることを可能にする予定です。

 ノズル目詰まりなどの吐出問題は、Meteor NozzleFixで補正することができ、特定メーカーのヘッドでは目詰まりノズルの自己検出機能に対応しているので、スキャナやカメラを用いずに不良ヘッドとノズルを特定できるようになります。

 また、サードベンダーの画像検査装置へは、DIRECT QI(オプション)を使用して8-bitのRGBページ画像を希望の解像度で提供可能です。

 このようにSmartDFEは、HYBRID Software Groupの知見を結集したRIPソフトウエアであり、それら技術のIPはすべてグループ内で保有しております。

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プチブレークするSTEPZのバリアブルPDF生成機能

 今回は、弊社グループ企業であるベルギーHYBRID Software社のラベルとパッケージ用のプリントレディPDF構成アプリケーションソフトであるSTEPZを紹介します。 STEPZは、同社のPACKZをデジタル印刷向けにカスタマイズしたバージョンであり、トラッピングなどの幾つかの機能が外されたPACKZの廉価版といった位置付けの製品です。 最近富にプチブレークしています。

 STEPZは、入力されたPDFの、分析と修正(プリフライト)、ドキュメント構成資産のチェック、設定や機能の追加・変更、テキスト編集、オブジェクトの編集、バーコードと2次元コードの検証・編集・追加、3Dシミュレーションとワープ機能、セッションロールバック機能、バリアブルデータジョブの作成、iC3Dとの連携、そして殖版(Step&Repeat)・面付けなどの機能に対応しています。

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 プチブレークしている理由は、バリアブルデータジョブの作成と面付けがワンストップで対応できることと、生成されるバリアブルデータPDFの品質の高さと処理速度の速さが高く評価されているためです。

 STEPZは、PDFをネイティブに処理するアプリケーションソフトであり、バリアブルデータの生成はテンプレートとして入力されるPDF内部のプリミティブ(画像、ベクター、テキストなどの基本的図形要素)を入れ替えて作成するので、生成されるバリアブルデータジョブPDFの品質は、テンプレートのPDFと遜色ないものが生成されます。

以下では、バリアブルPDFを作成する例と、その操作ステップを説明します。
1.最初にテンプレートPDF(1枚もの)をSTEPZで開きます。
2.STEPZの「VDPの準備」を開始します。
3.バリアブルデーター情報を含むCSVファイルを指定します。

この例で使用するCSVファイルの内容を以下に示します。

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CSVファイルの1行目には、各コラムを代表する名称が定義されております。 実バリアブルデータは2行目から保存されています。 PDFのバリアブルオブジェクトとCSVファイルのコラム名称との対応は以下の通りです。

帯部分の色(インデックスカラー) <-> コラム名称:color
 備考: カラー名 -> カラーバリューを指定したカラーマッピングを通してCMYK値が規定されている。
製品名称 <-> コラム名称:module
 備考: 実際にはvdp.data.module+".pdf"として設定されており”コラム名称.pdf”が読み込まれている。
QRコードのデータ <-> コラム名称:QR
帯部分のテキスト <-> コラム名称:language
背景画像 <-> コラム名称:background
右下の数値 <-> コラム名称:number

4.STEPZのデータリンク機能を使用して、PDFオブジェクトとCSVのコラム名称とをリンクします。

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5.「VDPの実行」を行い、テンプレートPDF内のオブジェクトを入れ替えながら、バリアブルPDFのページを生成します。 以下の様な複数ページ(開始アイテムとアイテムの数は設定可能です)のバリアブルPDFが生成させます。

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6.生成されたバリアブルデータを「面付けグリッド」で面付けします。

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STEPZのバリアブルオブジェクトは、数値、QRコード、バーコード、テキスト、画像、オブジェクトの色等に対応でき、PDFのプリミティブに直接アドレスする形でバリアルブデーターPDFが生成されるので、生成されるPDFの質は大変高品質です。 また、バリアブルデータPDFを高速に印刷する仕組みが SmartDFE で提供されております。 なお、出力アイテム数が多い場合には、CloudflowでVDPの実行をさせると高速に処理できます。

フランスQuadraxis社のソースコードと知的財産権買収について

 ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、当社グループ企業であるベルギーHYBRID Software社は昨年12月1日に、3Dスキャンと画像処理の先駆的な技術を開発したQuadraxis社の破産後、同社の保有していたソフトウエアソースコードと知的財産権を破産管財人から買収したことを発表しました。

 HYBRID Software社のCo-PresidentであるNick De Roeckは以下の様に述べています。
「Quadraxis は19年間に渡り、3Dモデルのキャプチャを簡単にする独自のテクノロジーを開発し、シュリンクスリーブ、エンボス加工された金属、および熱成形プラスチック パッケージのグラフィックデザインのディストーションを簡単にしました。また、パッケージ業界の多くの企業は、自動化されたワークフローでQuadraxis社のテクノロジーを用い、パッケージ生産の手作業を減らし、効率化できました。」と述べています。

 この買収により、Hybrid Software Groupの3DおよびAdditive Manufacturing (付加製造)ソリューションが強化されます。 グループは、Quadraxis社のソフトウェアを、グループの3Dアプリケーションを含む広範なポートフォリオに統合することを計画しています。

ワンパスの高速インクジェット印刷機の印刷品質を改善するScreenProとPrintFlat技術

 今回は、数々の受賞歴があるワンパスの産業用高速インクジェット印刷機の印刷品質を改善する英国 Global Graphics Software社のScreenProとPrintFlat技術について簡単に説明します。

 通常、高速のワンパスインクジェット印刷機では、固定したプリントヘッドに直交するように印刷メディア(用紙、フィルム、布等)を高速に搬送しながら印刷していくが、横方向に配列されるインクジェットヘッド間の濃度バラツキや、同一インクジェットヘッド内での濃度バラツキ(スマイル現象)により、縦縞(バンディング)が見える問題が往々にして発生します。この問題を解決するために開発されたのがPrintFlat技術(ScreenProのオプション)であり、RIPで生成されたCMYKの8-bitコントーンイメージデータをスクリーニング処理を適用する前に補正します。また、モットリング(オレンジの皮効果)やチェーニング等の問題を解決するため、インクジェット専用に最適化されたマルチビットスクリーニング技術(1-bitの他2-bit, 4-bitにも対応可能)がScreenProであり、PrintFlatで濃度補正されたCMYKコントーンイメージデータを高速にスクリーニング処理できます。これら技術は、すべてソフトウエアで実現されているので、特別なハードウエアは不要です。また、当社別製品であるSmartDFEに組み込まれているScreenProでは、ページ分散で複数のScreenProで高速に分散処理できるので、オンザフライで高速に印刷しながらスクリーニングをかけることを可能にしています。

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インクジェットヘッドのノズル不良の自己検知

 今回は、産業用インクジェット用のインクジェットヘッドコントローラーボードのメジャーなサプライヤーであり、また弊社グループ企業でもある英国Meteor Inkjet社が昨年の11月29日にプレスリリースした「インクジェットノズル状態検出(Inkjet nozzle status detection)」に関する米国特許 (米国特許第 11,504,966 号)について簡単に説明します。この特許はピエゾ励起後のノズルからの電気フィードバックのリアルタイムモニタリングを使用して、詰まりしているノズル、または目詰まりしそうなノズルを検出するもです。

 インクジェットヘッドの吐出に関連した問題に対処する従来の方法の多くは、ノズル障害を検出できるパターンを実際に印刷し、その結果を目視もしくはスキャンニングして不良ヘッドとノズルを特定するもでした。 しかしながら、高速で動作するシングルパスインクジェット印刷機の場合、もしくはノズルの故障が致命的な結果をもたらすアプリケーションでは、既存のインラインイメージングソリューションは複雑すぎ、通常大きなコストがかかります。さらに予知保全ができません。この特許は、不良ノズルの特定に際して、スキャナーやカメラが不要となるため、現状避けて通れないインクジェットノズル不良対策に対し、オンザフライで検出し自動的に対処できる可能性を秘めております。 ただし、すべてのインクジェットヘッドノズルの動作状況をテストするためには、全ノズルの励起が必要となるので、テストパターンの吐出が定期的に必要になるかもしれません。 尚、特定された目詰まりノズル、もしくは調子の良くないノズルは、完全にオフにして、Meteor InkjetのNozzleFix機能を用いて、近接するノズルで補完することができます。

イギリスに出張していました

 久しぶりにイギリスの Global Graphics Software 本社と Meteor Inkjet 社を訪問してきました。 コロナウィルスの蔓延期間は一切出張していなかったので、ほぼ3年ぶりの訪問でした。 飛行機は満席で、コロナの終息感があり、日本にも以前の日常が戻ってきたって感じです。 以下は、Global Graphics Software のオフィスの写真です。 日本より5°ぐらい気温が低く、少し寒々とした写真となってしまいました。 Global Graphics Software のオフィスはケンブリッジ郊外のとても閑静な Cambourne Business Park 内にあります。 しばらくブログのアップデートをさぼっていましたが、また再開します。
 
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グローバルグラフィックス株式会社、20周年の記念日を迎える

 グローバルグラフィックス株式会社は、2003年2月20日に設立されましたので、本日20周年の記念日を迎えることとなりました。 これもひとえに、皆様のご支援の賜物です。 この場を借りて深く感謝申し上げます。 今後ともいっそうのご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 敬具

STEPZとiC3Dの連携機能が強化されました

 HYBRID Softwareの、デジタル印刷機をターゲットとしたラベルとパッケージ用プリントレディPDFの構成アプリケーションソフトであるSTEPZのv8.5.0とiC3Dのv8.5.0からSTEPZとiC3Dの相互運用が強化されました。これにより、STEPZで開いている印刷用のデザインをiC3Dに送ったり、iC3Dの3Dデザインで使用されているラベルやパッケージデザイン(.ic3ファイル内に埋め込まれている)をSTEPZ側に取り込んだりすることが簡単に出来るようになりました。

旧バージョンブロック図:

STEPZ_block_20230216.png

新バージョンブロック図:

STEPZ_new_block_20230216.png

 これによりSTEPZを使用したプリントレディPDF構築フローの途中で、印刷に使用する実デザインファイルを使用して、3Dシミュレーション画像やムービーを作成し、印刷の開始前にブランドオーナーの承認を得ることができるようになります。

STEPZについて
STEPZは、通常1ページのPDFやAIファイルを受け取り、印刷で問題を起こすコンテンツや構成が含まれていないかをチェック・修正し、印刷機で印刷できるように面付・殖版を行い、マーク等を追加できるデジタル印刷用のプリントレディーPDF構築用のアプリケーションソフトです。姉妹製品としてトラッピングに対応したフレキソやグラビア印刷用のバージョンPACKZがあります。どちらもバリアブルデーター印刷用のPDF生成機能にオプションで対応しており、テンプレートとCSVファイルからバリアブルデーター用のPDFを作成して、面付けを行うことができます。 バリアブルデーターPDF生成の高速性で大変高い評価をいただいております。 詳しくは、sales@globalgraphics.co.jpまでご連絡ください。

iC3Dで3Dオブジェクトの材質を編集

 iC3Dのレイトレーシング機能は、前のブログで簡単に説明しましたが、マテリアルライブラリで簡単に素材の色は勿論の事、材料の質感を変えることができます。

 以下の例は、なめらかな材質を指定した例です。

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 以下の例は、マット風の材質を指定した例です。

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