Office 2007からPDFで保存の削除

Office 2007 に搭載予定であった PDF 形式と XPS 形式でのファイル書き出し機能が、Adobe からの強い要請(訴訟も辞さない)により、外されることになった模様。



約4ヶ月間、両者は水面下で交渉を重ねてきたようであるが、交渉は最終的に決裂した模様。しかしながら、Microsoft は独禁法で訴訟されることを回避する目的で、以下のような決定を下した模様。



Adobe は Microsoft に対し、PDF と XPS 生成機能を Office から外し、別途有料で販売することを要求していた模様である。Microsoft は、結果的にはこれら機能の Office 2007 からの削除に応じたが、有料化は望んでいない模様。したがって外した機能は、Microsoft の Web サイトから無料でダウンロード出来るようになる模様だ。



独自に調査した Microsoft の決定内容:



1)Office 2007 の「PDF 形式で保存」機能と「XPS 形式で保存」機能を外し、別途 Microsoft の Web サイトから「無償」ダウンロード提供できるようにする。



2)PC メーカーに、Windows Vista から XPS(XML Paper Specification)生成機能(MXDW: Microsoft XPS Document Writer)を削除できる選択肢を提供する(憶測を含む)。ただし、PC メーカーが取り外しても、カスタマーが希望すれば、この機能を Microsoft の Web サイトから無償でダウンロードし取り戻せる。ただし、Windows における印刷の拡張であり、XPS Spool File として使用される XPS に関しては、削除することはできないし取り外す意思はないようだ。したがって、プリンタメーカーにおける XPS ネーティブ処理の重要性にいささかの変わりは無い。



今回の Microsoft の決定は、Adobe からの要求をベースとしたものではなく、Microsoft の独自の決定によるもののようだ。 まだ「無償」ダウンロードの点でもめる可能性が残されている。しかしながら、Microsoft と Adobe が真っ向から訴訟ベースで対峙するとも思えない。



上記の意味で、双方の公式文書は奥歯に物が挟まった言い方でわかり難いが、正確には、Microsoft と Adobe の公式文書を参照し、状況を推察されたい。上記記載には、私の憶測も含まれ、内容が正しいことを保障するものでは無い。またこの度の Microsoft の決定内容は、今後変わることもあり得る。



参考ブログ:
http://blogs.msdn.com/andy%5Fsimonds/

WinHEC 2006

昨年に引き続き米国ワシントン州シアトルで開催された Windows Hardware Engineering Conference (WinHEC) 2006 に参加したが、今年は何とか基調講演に参加する時間が持てた。



XPS (XML Paper Specification; 旧 Metro) に関しては、昨年の WinHEC 2005 に比べ、サプライズは少なかったように思う。 ブースセクションでは、複写機でスキャンしたペーパードキュメントを XPS 形式に変換するというデモをしていた。 また、Global Graphics が、マルチプラットフォーム環境における XPS のネイティブ印刷のデモをしていた。 



GDI プリントパスから XPS プリントパスへの進化は、Windows の印刷プロセスの一つの大きな革命であり、しかもスクラップ&ビルド方式の革命となる。 ただし、従来の GDI ベースの印刷も XPS to GDI Conversion の仕組みを通すことにより XPSDrv プリント ドライバで使用できるようではあるが、XPS で強化されたメリットが欠落してしまうことになり、推奨できない。



さらに XPS は、単なる印刷のスプーラーフォーマットとしてだけではなく、電子ドキュメントの形式としても使用されるように設計されており、Vista 上で生成された XPS 形式のドキュメントが、電子メールに添付、Web サイトからのダウンロード等で使用されるようになるものと考えられる。 XPS ファイルの受け手は、Vista に標準添付される XPS ビューワで XPS ドキュメントを閲覧することができる。 Office 2007 は、XPS ファイルを出力する最初のメジャーなアプリケーションとなる。



これまで Vista に限定して話をしたが、実は WinFX は、Windows Vista だけではなく、WinFX Runtime Components をインストールすることにより、Windows 2003 Server SP1 や Windows XP SP2 でも使用可能となり、WPF 対応のアプリケーションは、これらレガシーOS 上でも使用可能となる。 WinFX Runtime Components の重さと、新しい WPF アプリケーションの魅力にもよるが、レガシー Windows 上でも XPS 形式が急速に広まるかもしれない。