Global Graphics 次世代電子ドキュメントアプリケーションを発表!

Global Graphics は、4 月 27 日、gDoc Fusion、gDoc Creator、gDoc PDF Server という 3 つの次世代電子ドキュメントアプリケーションを発表した。これら新アプリケーションは、多くの PDF 表示・編集アプリケーションへの市場競合性のアプローチからではなく、多くのエンドユーザーのニーズを調査し、スクラッチで企画・開発された大変使い易いアプリケーションである。



gDoc Fusion は、PDF、XPS、Microsoft Office ファイル形式の表示、編集、注釈やしおりの作成、ビジュアル3Dサーチ、入力ドキュメント形式を PDF、XPS、もしくは Microsoft Word 形式に変換する機能の他、新しいドキュメントを他のドキュメント形式のページをドラッグ&ドロップして構築するソリューションを提供します。gDoc Creator は、PDF もしくは XPS ドキュメントを、Microsoft Word/Excel/PowerPoint、PostScript、PDF または XPS から生成、もしくはアプリケーションから PDF もしくは XPS に印刷するシンプルなソリューションを提供します。gDoc PDF Server は、企業を横断し、PDF 生成を管理・自動化するシンプルでコスト効果的なソリューションを提供します。



尚、gDoc 製品の詳細については、Global Graphics Software の Web サイトを参照してください。理解を助けるムービーが用意されています。 (http://www.globalgraphics.com/)



第一弾は、欧文専用仕様であり 5 月 18 日から出荷開始予定。日本語版のリリース時期は未定。

閾値配列を用いたハーフトーンスクリーン

前ブログでは、AM や FM スクリーニングの話をしたが、PostScript では閾値配列(スレッショルド配列)を用いて独自のハーフトーンスクリーンを簡単かつ柔軟に構築できる。この閾値配列を用いる事により、希望するサイズのハーフトーンセルの中で、ハイライトからシャドーにかけ、ピクセルを置く順番をピクセル単位で設定できる。ただし、1度置いたピクセルは取り消すことができないという制約がある。閾値データは、8 ビットもしくは 16 ビットのデータを取り、それぞれ 256 階調もしくは 65,536 階調までを表現する能力を持つ。閾値データは、PostScript の配列形式、もしくはファイルとして保存される。ファイルを使用すれば、PostScript の配列表記の実装上の制限を回避できる。また、角度を持ったハーフトーンスクリーンも構築することができる。PDF は、PostScript のファイル形式の閾値配列と同等のハーフトーン辞書をサポートするが、ファイルではなくストリームとして閾値データを取り込む。



この閾値配列を用いて、多くのハーフトーンスクリーンが開発され、印刷ディバイス内で使用されている。閾値配列を開発する場合、ハーフトーンセルがタイリングで敷き詰められるため、四方八方で隣接する他のハーフトーンセル内のピクセルからの影響を考慮することが必要となり、ハーフトーンセルのサイズが大きくなると最適なピクセル位置を計算するのに膨大な計算が必要となる。しかしながら、コンピューターが計算で選び出したピクセル位置が必ずしも人間の目にとって最適な位置とはならないことが悩ましい。コンピュータースクリーン上で完璧に見えるスクリーンは、往々にして印刷すると縞模様が現れるのである。適切なノイズを加えることがとても重要である。



1つ、大変面白いハーフトーン辞書を遊びで作成したので例として紹介する。このハーフトーン辞書は、HarlftoneType 3 のハーフトーン辞書であり、32 x 32 の閾値配列で構成されている。この閾値配列では、32 x 32 のハーフトーンセルの中に星型の優先領域を儲け、その輪郭に沿った内側から優先的にピクセルを割り当て、星の内部をピクセルが埋め尽くした後に、外側領域にピクセルを広げていく様に閾値配列が設計されている。勿論、周辺のハーフトーンセル内のピクセルが考慮されている。このように、閾値配列を用いたハーフトーンスクリーンは柔軟性が高い。



FM スクリーニング



今回は FM (Frequency Modulation) スクリーニングについて話をしよう。AM スクリーニングでは、ドットのサイズにより階調を表現しているのに対し、FM スクリーニングでは、分散され不均一な形状を持つより小さなドットの密度により階調を表現している。FM スクリーニングは、ドットゲインに関して高い制御が求められるので、CtP の普及にあわせて(フィルム出力後のアナログ作業が不要な為)普及してきた。FM スクリーニングでは、AM スクリーニングと異なり、スクリーン角度・線数といったものが存在しない。したがって、異なるスクリーン角度を持つ複数のスクリーンを重ね合わせることにより発生するモアレやロゼット、スクリーンと絵柄との干渉パターン発生の心配が無い。前々回のブログで説明したように、AM スクリーニングでは、気になるモアレパターンを回避するために、各版のスクリーン角度の間で大きな角度差が求められた。しかしながら 6 色のヘキサクロムとなると、十分なスクリーン角度をとることが難しくなる。そこで、スクリーン角度の概念が無い FM スクリーニングが用いられる。



また、FM スクリーニングでは、印刷ジョブ内部のディテイルの再現性が高く、使用するインク量を削減することができ(10% ~ 20%程度)特に新聞業界ではコスト削減効果が期待でき、ミスレジストレーションが発生しても AM スクリーニングの様にクリアセンターからドットセンターに突然ジャンプすることがなく、ジャギーや線切れが発生せず、中間調におけるドット間の接続によるトーンジャンプが発生しないというメリットがある。しかしながら、FM スクリーニングではより小さなドットを用いるため、通常ドットゲインが大きく、出力品質は印刷機の臨界性能やメディアに対して大変クリティカルである。Kodak (Creo) 社の Staccato の SQUARESpot のようにレーザースポットを四角形にしたり、均一でエッジの立った露光により変動要因の影響を受けずらいドットを採用する等、高い印刷性能が求められます。一方、スクリーニング技術側からは、印刷機器の臨界性能・特性に最適化された様々なドットストラクチャが開発され用意されている。



以下に、AM と FM スクリーニングにおけるディテイル再現能力の違いを示す。



※ 画像はクリックすることで拡大できます。



Af037cut_12 Hairsuperfcut_3Hairhpscut_2







代表的な FM スクリーニングの一つに、Global Graphics の Harlequin Dispersed Screening (HDS) がある。HDS は Global Graphics の特許技術である Stochastic スクリーニングである。業界を代表する多くの企業で広く採用されている。HDS には、スクリーンファミリーが含まれており、標準の CMYK 4 色のプロセスカラーとスポットインク用のバージョンと、ヘキサクロムもしくはフォトインクデバイス用のバージョンがある。また、HDS には、以下5種類のドットストラクチャが用意されており、さまざまな印刷プロセスとメディアに対応できる。



HDS Fine (HDS微細):
見事なドットストラクチャにより、大変スムースで画像粒状性の低い印刷を提供する。





Hds_4



HDS Medium (HDS標準):
中間調領域でわずかに大きなドットストラクチャを持ち、中クラスの商業印刷もしくは出版で用いられます。





Hds_5



HDS Coarse (HDS粗い):
いくぶん大きなドットストラクチャを持ち、印刷のし易さを追求します。微細なディテイルを再現することが困難な印刷機で用いられます。





Hds_6



HDS Super Coarse (HDSスーパーC):
大きなドットストラクチャを持ち、更に印刷のし易さを追求し、画像のハイライト領域における再現性に優れます。解像度で 1,000~1,600 DPI の低・中クラスのイメージセッターやプレートセッターで用いられます。





Hdsc_2



HDS Super Fine (HDSスーパーF):
Ink-Jetデバイスの様に、ピクセルレベルでの再現性に優れたデバイスに適します。カラー/モノクロのレーザープリンタ、インクジェットプリンタで用いられます。



Hdsf_2



AM スクリーニングのスポット関数

一つ前のブログ「AM スクリーニング」の説明で、通常の印刷プロセスでは、ハーフトーンセル中のピクセルの割合でトーン(濃度)の表現をしていると説明したが、PostScript の AM スクリーニングでは、スポット関数 (SpotFunction) と呼ばれる PostScript 手続きが、トーンの変化に対してピクセルを置く順番を規定している。PDF でもスポット関数の仕組みは基本的に同じであるが、PDF の場合は、一般的に使用される定義済みのスポット関数を名前で指定するようになっている。PDF リファレンス第 2 版の表 6.1 に定期済みのスポット関数と PostScript 言語のスポット関数が記載されているので、参考にされたい。



ハーフトーンセルは固有の座標系をもっており、原点はセルの中心で、x 座標と y 座標は -1.0 ~ 1.0 の範囲で表わされる。PostScript インタープリタは、ハーフトーンセル内部のそれぞれのピクセル位置に対する x y 座標をオペランドスタックにプッシュした後、このスポット関数を呼び出す。スポット関数内の手続きが、オペランドスタックにプッシュされているこれら座標値を読み出し、手続きに従った計算を行い、ピクセルを白にする優先順位を現わす数値 (-1.0 ~ 1.0) を返す(オペランドスタック上に返す)。PostScript インタープリタは、そのときのグレイレベルに応じて、どのピクセルを ON にするかをこの返値から判断しドットを形成する。尚、この返値のレベルには意味がなく、それぞれのピクセルに対する返値における相対的な比較のみが意味を持つ。



白から黒へとグレーレベルが変化するとき、ハーフトーンセル内部のピクセルを置く順番は、大きい値を返したピクセル位置から順番に置かれるように制御される。もし複数のピクセル位置が同じ数値であった場合は、任意のピクセルが選択される。



例えば、以下のスポット関数は、単純円形ドット (SimpleDot) のスポット関数の手続きである。



{dup mul exch dup mul add 1 exch sub}



この単純円形ドットは、もっとも引き締まった形状であり、ドットゲインの影響を最も受けにくく、ハイライト部の表現に優れている(デバイスの臨界点ぎりぎりのハイライト部で安定したドット表現力を発揮する)。しかしながら、シャドー部の表現力に乏しい(シャドー部では、白く抜けるところの形状がシャープな菱形となり、潰れ易い)という欠点がある。また、約 78.5% の濃度のところで、隣接する四方のドット同士が同時に接触し、トーンジャンプが発生する。四方のドット同士が同時に接触することを避けるために、4軸対象性のドット形状ではなく、2軸対象性の楕円形や、ダイヤモンド型(菱形)のドット形状が使用されることもある。もしシャドー部で最良の結果を出したいのであれば、反転円形ドットが好ましいが、逆にハイライト部における表現力に問題がある。このように、ドット形状には、長所と短所があり、印刷物の特質によって、いろいろな形状のドットが組み合わされる。例えば、最も標準的に使用されている幾何学形状混成ドット (euclidean composite dot) では、単純な円形ドットと、反転円形ドット (InvertedSimpleDot) が組み合わされており、ハイライト部とシャドー部の両方で表現力を高めている。



とはいえ、このスポット関数の手続きを眺めただけで、どのようなドット形状になるかを理解することは難しい。理解するには PostScript の知識が少々必要だ。そこでスポット関数の手続きがどのようなドット形状を形成するのかの理解を助ける PostScript プログラムを紹介する。



以下プログラム内の /screening {dup mul exch dup mul add 1 exch sub} def の{ }の内側がスポット関数の手続きであり、この部分を変更することにより、さまざまなスポット関数のドット形状で評価できる。



使用方法は至って簡単で、スポット関数手続き部分を編集した PostScript ファイルを、Acrobat Distiller や Jaws ToPDF といった PostScript を PDF に変換するアプリケーションに、ファイルをドラッグ&ドロップし、生成された PDF を閲覧するだけだ。表示された PDF には、最初に置く優先順位が高いところがより黒く表現されており、数値が大きいところほど優先順位が高いことを示す。



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%!PS-Adobe-3.0
%%Title: Screen test
%%Creator: Hagi-san
%%Copyright (c) 2009 Hagi-san.  All rights reserved.
%%EndComments



/hagidict 10 dict def
hagidict begin



/size 16 def
/psize 30 def
/Courier findfont 25 scalefont setfont
50 50 translate



/screening {dup mul exch dup mul add 1 exch sub} def
%/screening {dup mul .9 mul exch dup mul add 1 sub} def



/xxx 0 def
/yyy 0 def
/tone 0 def
/incr {2 size 1 sub div} def



/box1 {
gsave
5 setlinewidth
0 0 1 setrgbcolor
0 psize 1 sub rlineto
psize 1 sub 0 rlineto
0 psize 1 sub neg rlineto
psize 1 sub neg 0 rlineto
gsave
stroke
grestore
tone 1 add 2 div 1 exch sub setgray
fill
grestore
1 0 0 setrgbcolor
2 2 rmoveto tone 1 add 100 mul 2 div cvi (   ) cvs
show
} def



/box {
gsave
xxx 1 add 2 div psize size mul mul
yyy 1 add 2 div psize size mul mul
moveto
box1
grestore
} def



-1 incr 1 {
/yyy exch def
-1 incr 1 {
  /xxx exch def
  xxx yyy screening /tone exch def
  box
} for
} for



showpage



Screentest1_3 



AM スクリーニング

今回は AM スクリーニングについて話をしよう。PostScript や PDF の AM スクリーニングは、HalftoneType が1のハーフトーン辞書に、スクリーン線数、角度、そしてスポット関数(編点関数)等を定義することでカスタマイズできる。しかしながら、スクリーニングの背景技術はとても複雑であり、設定の簡単さに対し RIP 内の処理は比較にならないほど複雑で膨大である。



通常印刷機は、色の三原色シアン、マジェンタ、イエローにブラックを加えた 4 種類のインクを用いて印刷する。印刷機で用いられているインクは、それ自身で階調を表現できないので、面積階調により階調を表現している。そこで用いられている技術が、ハーフトーン(網点)もしくはスクリーニング技術であり、ハーフトーンセルと呼ばれる網点セルを並べ、編点セル中のピクセル濃度で、濃淡を表現している。通常ハーフトーンセルの並べる方向に関して角度を設けており、その方向軸に対し、1インチ当りのハーフトーンセルの個数をスクリーン線数と呼び、並べる軸の角度をスクリーン角度と呼んでいる。



同一のスクリーン線数で、異なるスクリーン角度を持つ2つのスクリーンを重ねると干渉パターンが発生する。この干渉パターンをモアレパターンと呼び、それら2つのスクリーン角度の中間角度を軸とするモアレパターンが派生する。このモアレパターンの周期が長くなると、人間の目には色むらとして見えてくる。このモアレパターンの周期を出来るだけ短くするためには、スクリーン間の角度差を出来るだけ大きくとることが好ましい。通常 30°以上の角度が好ましいとされている。もし 3 版のスクリーンを 90°の中に配置する場合は、30°ずつ回転し配置することで拡版間の角度差を最大化できる。しかしながら、CMYK 4版になると事はそう単純ではない。



人間の網膜は、45°のスクリーン角度が最もスクリーンを認識しずらい(鈍感になる)ので、通常最も濃いインク色であるブラックを、まずは 45°の角度に割り当てる。この角度から、30°の角度差の位置、即ち 15°と75°に、次に濃いシアンもしくはマジェンダを割り当てる。この場合、それぞれの版間には 30°のモアレパターンが現れるが、角度が 30°あるので、あまり気にならない。4 版目は 30°の角度差で配置された二つの版の中間、つまり2つの版から 15°ずつの角度位置に置くことが、モアレの問題を最小化できる置き方である。この条件だけでは、3 つの版の角度差は 30°(15°、45°、75°)であるため、何処のスクリーン角度の中間に置いても良いのであるが、一番目立つ色であるブラックとの 15°のモアレパターンを避ける為、シアン版とマジェンダ版(75°- 90°= -15°)の中間、即ち 0°にイエロー版を設ける。0°は人間の網膜でスクリーンを最も識別し易い角度ではあるが、イエローは CMYK のカラーナットの内最も認識しずらい色であるため、通常さして問題にはならない。



上記は、伝統的な AM スクリーニングの基本であり、実際は上記の変形をケースバイケースで用いている。例えば、印刷物の中心的要素が人の肌色であり、黒い部分が少ない印刷物の場合には、ブラック版とマジェンダ版のスクリーン角度入れ替えることがある。これにより、1番濃い色となったマジェンタ版を 45°に置いて、編点を目立たなくすることができ、さらにマジェンタ版とイエロー版の 15°の関係を回避でき、明るいピンクやオレンジ色で現れやすいモアレパターンの発生を低く抑えることができる。



またシアン、マジェンダ、イエロー版の 15°の角度差のスクリーン 3 版を重ねると、花模様のような特徴的なパターンが現れる。この特徴的なモアレパターンをロゼットと呼ぶ。このロゼットは、イエロー版の線数を、他の版の線数からわずかにずらすことにより、より目立たないロゼットパターンにすることが可能であり、イエロー版のみ他の版より 7% ~ 8% ずらした線数を用いることがある。



またイエロースクリーンの位相をずらすことにより、ロゼットの形状は変わり、センターにドットを持つセンタードットと、センターが抜けているクリアセンタという二種類のロゼットパターンに入れ替えることができる。クリアセンタのロゼットは、比較的、色の再現性が良く、深い陰の部分での細部の表現力に優れている。一方センタドットのロゼットは、網点がぴったりかさなったとき色ズレが最大になるので嫌われる。ただし印刷プロセスにおける機械的な精度により、ロゼットパターンの形状をコントロールすることは難しい。それよりも、安定したロゼットパターン形状を印刷ページ内全域に渡り安定して再現することの方が重要だ。



4 色の AM スクリーニングにおける高品質化の鍵は、モアレが目立たないようにするか、ロゼットパターンの形状がページ全体で普遍であるようにすることである。そのためには、同一スクリーン線数と、理想的なスクリーン角度 (15°75°0°45°)をいかに正確に再現できるかがポイントとなる。どれぐらいの正確性が求められるかと言うと、A4 ぐらいの用紙サイズであれば、角度の誤差は 0.001°以内、線数の精度は 0.01 線以内が求められる。勿論用紙サイズが大きくなるとより厳格な制度が求められる。



実は PostScript 標準の RT (Rational Tangent) スクリーニングでは、スクリーン線数とスクリーン角度は取り得る値がかなり限られる。例えば、2400dpi で 133.33 線 15°という設定を行うと、結果は 135.44 線 16.39 °となってしまう。この誤差は、なんと 2.11 線1.39°もある。原因は、RT スクリーニングでは、均一な編点セル形状・サイズが用いられるためである。原理的に、編点のセルサイズを大きくすると、角度の自由度は増すが、スクリーン線数は低くなり、編点が人間の目で認識されるようになる。一方編点のサイズを小さくすると、スクリーン線数が高くなり、編点が目立たないスクリーンとはなるが、取り得るスクリーン角度の自由度が減り、また表現できる階調数も減る。



指定されたスクリーン線数と角度をより正確に再現するためにアキュレートスクリーニングが開発された。 アキュレートスクリーニングでは、一つの大きなスーパーセルの中に形も大きさも異なる複数の網点セルを形成することで、高いスクリーン線数を確保しながら、より希望値に近いスクリーン角度を得ることを可能にした。これにより、モアレを目だたたくし、ページ全体で均一なロゼットパターンを得ることができる。しかしながら、精度を上げるために巨大なスーパーセルを作成することが必要となり、RIP の計算コストが飛躍的に増大する。



高級な RIP では、要求されるスクリーン角度や線数に対し実際に使用される角度や線数の許容精度や偏差値の設定、網点セルにドットを置く順序を制御しスムーズな網を提供、256 階調を超える高い階調表現、低い解像度のデバイスで高い線数と階調を提供、そしてロゼットの形状の制御など、大変高度な制御が可能なものもあります。

印刷業界の開発トレンド

百年に一度の不況と呼ばれる状況の中、多くの先進的な企業で、新しい付加価値を持つ新製品の開発や、新しいビジネスモデルの開拓が水面下で進行している。



世の中を見渡すと、印刷・出版・新聞業界だけでなく、テレビ業界といった「画一的」な情報配信を行う業態で激しさが増しているように思える。これは、単に米国のサブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱からの影響ではなく、むしろ技術革新を背景としたニーズの変化に原因があると思われる。



印刷業界では、画一的な情報の大量印刷・大量配布の時代は終わり、必要な時に必用な部数を印刷する POD、顧客のニーズに応じて提供する情報を特化させるバリアブル印刷やトランスプロモ印刷に脚光が集まっており、顧客データーベースを活用した印刷物が増えている。



一方、POP や大判印刷による屋内サインは、デジタルサイネージを用いたダイナミックでインタラクティブな媒体にシフトしてきている。こちらもまた、顧客データーベースからの情報を活用し、必用な情報を必用な人にタイムリーに提供することが求められてきている。



高速デジタル印刷機の市場は、戦国時代に突入した。商業印刷の機器メーカーと複写機メーカーらが、この市場に参入している。しかしながら、数千 PPM の高速性と商業印刷の印刷品質を両立することは容易なことではない。マルチ CPU コアによるマルチ RIP の制御が求められることは勿論の事、その上で、商業印刷の出力品質を実現しなければならなからだ。しかしながら、既に100 RIP を超える並列処理が実現されている。