ISO 32000-2 と PDF 2.0

国際規格の ISO 32000-1 (part 1) 仕様が 2008 年に発行され、PDF 1.7 として規定されたが、それ以降 ISO 32000-2 規格が現在開発中であり、PDF 2.0 として規定される予定だ。



拡張点は、さまざまなソースからの要望によるものであり、以下拡張を含むものである:



● 明確でなかった 32000-1 のテキストの改善
● PDF/UA 内のアクセシビリティ(PDF for Universal Accessibility、盲、弱視、それ以外の障害者がドキュメントコンテンツにアクセスすることを可能にするための助けとなる技術をサポートするための仕様の規定)
● PDF/A のドキュメント保存(PDF for Archiving、ドキュメントコンテンツの長期保存をサポートするための仕様の規定)
● Adobe 社の Acrobat 9.0, 9.1 そして 9.2 における PDF 拡張、そして他ベンダーからの要望に対応
● デジタルシグネチャー用の方法を規定する ETSI(European Telecommunications Standards Institute) の PAdES 仕様



これら拡張は、特定のユーザーでは大変有用なものである。しかしながら、それ以外のユーザーにとっては、新しい開発やテストが必要となり、この PDF 仕様を採用することのリスクテイクを考慮する必要があるであろう。いずれにしても、ISO 32000-2 が発行されるのは、2011 年の第2四半期と予想されており、少なくとも 2010 年は成り行きを見定めることになろう。

Global Graphics、PAGE2010 で新 RIP SDK をデモ

RIP 技術は既に枯れた技術だと思っている方、PAGE2010(会場:サンシャインコンベンションセンターTOKYO、 会期:2010年2月3日(水曜日)~2月5日(金曜日) のグローバルグラフィックス(株)のブース(D-28) を訪問されるとよい。Global Graphics は、いまなお RIP 技術を進化させている数少ない企業の一つだ。1990 年代初頭に多くのベンチャー企業が PostScript 互換 RIPを開発したが、その多くが買収されたりして市場から消えていった。 Global Graphics は、いまだに Harlequin と Jaws という2つの異なる RIP 技術を保有しており、印刷と電子ドキュメントのコア技術に特化したライセンス ビジネスを展開している。Global Graphics は、PDL に関するエキスパートを世界中から寄せ集め、オープンな PDL 技術の標準化に対し多大な貢献をしている。その技術レベルは、市場で大変高く評価されており、マイクロソフトが XPS の仕様を策定するとき、Global Graphics をコンサルテーションを提供するパートナーとして選んだことからも明らかだ。



Global Graphics の RIP 技術はグラフィックアート市場でたいへん長い実績があり、大変高く評価されている。Global Graphics は OEM パートナーと緊密に協業することで、自社のコア技術を高めてきた。Global Graphis の RIP は、開発当初からすべての PDL に対し「ネイティブ」に処理していた。このネイティブの意味は、PDL を他の中間形式に変換せず、直接解釈するという意味だ。ネイティブに処理することで、処理速度と出力品質を高めることが出来る。一方、Adobe 社は、長い間 PDF を中間形式の PostScript に一度変換してから処理していた。PostScript 形式に変換することは、初期の PDF 仕様では出力の互換性の観点では問題なかった。理由は、PDF が PostScript のグラフィックス プリミティブをベースとしていたからだ。しかしながら、PDF 1.4 の透明レイヤーの出現で状況は一変した。Adobe 社は Adobe PDF Print Engine (APPE) という新しい RIP を開発し、PDF のネイティブ処理に対応してきた。しかしながら、PDF と PostScript の両方に対応するには、CPSI と APPE の異なる RIP 技術を搭載することが必要となる。Global Graphics では、開発当初より PDF をネイティブに処理しており、一つの Harlequin RIP エンジンで PostScript、PDF、XPS、PCL といった異なる PDL にすべてネイティブに対応できるのが特徴である。



Global Graphics は、Harlequin PLUS Server RIP という同社のサーバー RIP の他、RIP 開発キット(SDK) となる Harlequin PLUS Host Renderer SDK と Harlequin PLUS Embeded SDK を市場に供給し、ライセンシーが自社のサーバー RIP を開発したり、組み込み型コントローラーに実装することができる RIP 開発キットを市場に投入している。これら開発キットはハイエンド グラフィックアート市場で高い実績を誇る Harlequin Server RIP の RIP コアをベースとしており、ハイエンド グラフィツクアート市場で高く評価されているスクリーニング、トラッピング、カラーマネージメント等を使用することができるのがありがたい。



最新の Harlequin PLUS Host Renderer SDK v1.3 では、パフォーマンスが一段と向上した。PDF/VT のベースとなる PDF/X-4p, PDF/X-5g, PDF/X-5pg にも対応した。またマルチ RIP の RIP 管理をシンプルにする Harlequin License Server (HLS) のサポートや、マルチビット スクリーニング、さらにはオブジェクトベースのスクリーニングにも対応した。最新の Harlequin PLUS Embedded SDK v3.7 のパフォーマンスは、昨年行った数回のバージョンアップを通して格段に向上した。 Harlequin PLUS Embedded SDK は、組み込み型向けの RIP 開発キットであり、PostScript、PDF、XPS の他、PCL 5e/5c/XL にもネイティブに対応しているのが特徴だ。



Global Graphics は、PAGE2010 で、最新の RIP SDK をデモする。グローバルグラフィックスのブース (D-28) では、クアッドコアのインテル Xeon プロセッサー上で Harlequin PLUS Host Renderer RIP を4個並行動作させ、840 PPM の処理速度をデモする予定だ。デモプログラムは、昨年のものと同じだが、昨年は 600 PPM であった処理速度が今年は 840 PPM に向上し、約 40% 高速化されている。



※PAGE2010 概要
●会期
2010年2月3日(水曜日)~2月5日(金曜日)
午前10:00~午後5:00



●会場
サンシャインコンベンションセンターTOKYO

Global Graphics、Harlequin RIP SDK の最新版をリリース

Global Graphics、ハイエンド グラフィックアート市場で高い実績を誇る Harlequin Server RIP をベースとした RIP 開発キット Harlequin PLUS Embedded SDK と Harlequin PLUS Host Renderer SDK の最新版をリリース。



Global Graphics は、昨年幾つかのリリースを通し Harlequin PLUS Embedded SDK のパフォーマンスを強化してきたが、この度その最新版となる v3.7 をリリースした。 Harlequin PLUS Embedded SDK の特徴は、一つの RIP コアで PostScript、PDF、XPS そして PCL (PCL 5e、5c、XL) のすべてにネイティブ対応できること、高いパフォーマンス、そしてハイエンド グラフィックアート市場で実績のあるカラーマネジメント、スクリーニング、そしてトラッピングなどのオプションが組み込み型でも利用できるところにある。最新の v3.7 では、パフォーマンスの更る改善の他、Bitstream Font Fusion フォントのサポートが含まれる。また同社の欧文フォントエミュレーション機能により、代替えフォントをRIP内部で瞬時に構築するので、搭載する欧文フォントの数を最小化できる。



同時に、Global Graphics は、RIP サーバー用の開発キット Harlequin PLUS Host Renderer SDK の最新版 v1.3 をリリースした。Harlequin PLUS Embedded SDK をベースとして強化されてきた多くの技術が Harlequin PLUS Host Renderer SDK にも移植された。これらには、マルチビット(多値)スクリーニングやオブジェクトベースのスクリーニングが含まれる。 更に、マルチ RIP システムにおけるライセンス認証を簡単にする Harlequin License Server (HLS) のサポートや、従来の PDF/X-1a、PDF/X-3、PDF/X-4 のサポートに加え PDF/X-4p、PDF/X-5g、そして PDF/X-5pg のサポートが含まれ、外部 ICC プロファイルや外部 XObjects へのアクセスが可能となった。これらの仕様は、現在標準化が進められている PDF/VT のベースとなるものであり、高速デジタルプリント市場で今もっとも注目されている仕様の一つである。更に、Harlequin PLUS Embedded RIP で改良を重ねてきた性能向上も、同時に移植されたため、旧バージョンに比較し格段にパフォーマンスが向上している。



これら最新版の RIP SDK は、2月3日(水曜日)~5日(金曜日)まで東京池袋のサンシャインシティコンベンションセンターTOKYO で開催される PAGE2010 のグローバルグラフィックス株式会社のブース (D-28) でデモされる予定だ。