MAKOの評価は簡単!

 今日も英国Global Graphics Software社の MAKO 解説の続きです。 前回は、MAKO をバリアブルデータ PDF の生成と殖版・面付けに応用する例を紹介しました。 今回は、MAKO の評価ならびに使用方法の理解を助けるために提供されているコマンドラインイグザンプルアプリを紹介します。 以下ではイグザンプルアプリの一つである makoextractor を取り上げ説明します。 このイグザンプルは、DOSのコマンドプロンプトからご利用いただけます。

 makoextractor [/Q] [/S] input.pdf (page range)

※ /Q : 高速出力が可能なインクリメンタルセーブを希望する場合のオプション。 ただし、ファイルサイズはソースファイルのサイズとほぼ同じサイズになります。

※ /S : シングルスレッド処理を希望する場合。 ディフォルトは複数スレッドで処理しますので、CPUコア数の多いPC下では高速に処理されます。

※ Input.pdf : 入力PDF

※ (page range): 複数のページ領域を設定可能。 デリミタは、コンマもしくはスペース (eg. 1-10,5-30,92,600-720,40-50)

以下の例では、4万ページからなる test40K.pdf を指定されたページレンジでファイル出力します。

makoextractor.exe test40K.pdf 1-10,100-200,1000-2000,10000-20000

dir test40K*
05/02/2022 10:07 16,262,850 test40K.pdf
22/03/2022 16:02 7,893 test40K_p1-10.pdf
22/03/2022 16:02 44,094 test40K_p100-200.pdf
22/03/2022 16:02 408,758 test40K_p1000-2000.pdf
22/03/2022 16:02 4,113,767 test40K_p10000-20000.pdf

その他、MAKO SDKでは以下に示すように多くのイグザンプルが用意されております。

Mako_examples_20230331.jpg

 MAKO 評価版は、機密保持契約書の締結だけでお貸し出しさせていただけます。評価に際してテクニカルアクセス費用等の費用は一切かかりません。MAKO にご興味のある方は、sales@globalgraphics.co.jp までご連絡ください。

MAKOの優れたドキュメント操作機能

 今日も英国Global Graphics Software社の MAKO 解説の続きです。 昨日は、MAKO のドキュメント表示機能に関して簡単に説明しましたが、それ以外に、ドキュメントの形式変換、殖版・面付け、プリフライト、最適化、バリアブルデータの生成、PDF標準の出力、分割と結合等に対応できます。

 以下に、MAKOを使用した幾つかの例を示します。

1).バリアブルデータPDFの生成
 PDF の Xobject をフルサポートしています。XObject には、ラスタ画像、テキスト、そしてベクタグラフィックスを含めることができます。この Xobject は、複数のページから、または同一ページの複数インスタンスから参照することが可能です。これによりパーソナライズしたり、1ページづつ異なる QRコードやバーコードを挿入したり、テキストを挿入できます。

Mako_VDP_20230329.jpg

2). 殖版・面付け
 ページ操作を行うための API が用意されており、簡単にページを移動、コピー、回転、サイズ変更ができます。 以下の例では、1-up のPDFをベースに 2-up のPDFを生成した例を示しています。 面付けコードのイグザンプルが、MAKO SDKで用意されています。

Mako_SR_20230329.jpg

MAKOの優れたドキュメント表示技術

 英国Global Graphics Software 社の MAKOを使用すれば、Windows や macOS 上で動作するデスクトップアプリ、AWSなどのクラウド上で動作するクラウドアプリ、iOS もしくは Android ベースのモバイルデバイス上で動作するモバイルアプリなどを開発することができます。
 
 今回は、MAKO の優れたドキュメント表示技術を簡単に紹介します。MAKO はプラットフォーム毎に異なる解像度に依存しない専用形式に変換して表示する技術を有しており、最新の高解像度ディスプレイ上で、鮮明でなめらかな表示を提供することが可能です。例えば、MAKO の iOS プラットフォーム用に調整されたレンダリングでは、プラットフォーム上でのハードウェアアクセラレーションを最大限に活用します。 ユーザーは、高速で流れるようなドキュメント表示エクスペリエンスを得ることができます。文字やグラフィックスオブジェクトは拡大してもジャギーにならず、表示のスクロールやパンでストレスを与えません。

以下はiPad上で動作するアプリケーションで MAKO を利用した例です。

Mao表示

MAKO電子ドキュメントテクノロジーについて

 このブログのサブタイトルは「デジタル印刷と電子ドキュメントの新潮流」ですが、もっぱらデジタル印刷に関する情報ばかりでした。しかしながらGlobal Graphics Softwareは、MAKO(メイコー)と呼ばれる電子ドキュメント技術も持っています。Global Graphicsの電子ドキュメント技術のライセンス数は、日本だけでも通算500万ライセンスをゆうに上回り、大変広く使用されております。

 この電子ドキュメント技術のルーツはJaws RIPをベースとしたJaws PDF Editor/Library/Creatorから始まり、現在ではMAKOブランド名で継承されています。Jawsは Just Another Windows Sub-system の略だとJaws RIPの開発者の一人である 5D Solution Ltd の開発者から聞いたことがありますが、やはり映画のサメを思い浮かべてしまうのは私だけだろうか。Makoは、大西洋と太平洋の強力なアオザメのことであり、やっぱりサメだったんだよねって思わざるをえない。でも深く追求するのは止めておこう。Makoは、PDL(ページ記述言語)の形式変換、情報抽出、操作、表示を提供するマルチプラットフォーム対応のテクノロジです。

mako_multiplatform_20230327.jpg

これから数回に渡って MAKO のご紹介をしてまいりたく思います。

低コストなSmartDFEソリューション

 今回は、英国Global Graphics Softwareが開発したSmartDFEの低価格ソリューションを紹介します。バリアブル印刷への要望が増えてきています。その用途のほとんどがフルバリアブルではなく、住所、QR・バーコード、シリアル番号などページの限定的要素のバリアブルデータを処理するものです。当社では、フルバリアブルをオンザフライRIPで対応できるSmartDFEも当初から提案していますが、今回はポーションバリアブルを中心に据えた低コストなSmartDFEソリューションを紹介します。

 当社のSmartDFEでは、前段に当社のグループ企業であるベルギーHYBRID Software社のCLOUDFLOWを備え、特定のワークフロー処理を前処理し、プリントレディPDFを出力できる仕組みを備えています。この部分は変更が無いため、今回は説明を割愛します。

 ポーションバリアブルPDFを処理するSmartDFEでは、Harlequin Direct内部のHQN Direct RIPでExternal Harlequin VariData (eHVD)機能を使用しているのが特徴的です。この機能を使用することで、Harlequin Direct PCの数を減らすことができ、大きなコストダウンが可能になります。Harlequin Direct RIPにはScreenPro(+オプションでPrintFlat) が搭載されており、RIPで生成されるコントーンCMYKイメージデータを濃度補正を行った後(PrintFlatを使用した場合)、スクリーニング処理を適用します。ちなみにHarlequin Direct RIP内のHarlequin Core RIP/ScreenPro/PrintFlatは、Global Graphics Softwareがすべて開発したものであり、すべてのソースコードを保持しており、100%コントロール下にあり、どのようなOEM要望にも応えることが可能です。

 eHVDは、PDF内部をプリスキャンし解析して、固定のページ背景画像と多くのバリアブルデータ画像を生成します。固定のページ背景画像は予め当社グループ企業である英国Meteor Inkjet社のMeteor board上のメモリーにダウンロードされます。一方、バリアブルデータ画像は、印刷しながらMeteor board上のFIFOメモリーにダウンロードしながら印刷します。完全なページ画像は、Meteor Mixed modeを使用し、Meteor board内のハードウエアにより固定のページ背景画像とバリアブルーデータ画像をマージしながら生成され、インクジェットヘッドへ送り出されます。 ちなみに、eHVDは、PDF/VTの他、通常のPDFも入力可能で、eHVDがPDF内部をスキャンし解析し、どこの部分が全ページで固定データーとなる箇所か、または可変データー箇所になるかを判別します。

 固定ページの繰り返し印刷の場合は、バリアブルデータが無い場合と同じであり、同じ仕組みで対応できます。また、フルバリアブル印刷の場合でデーター転送スループットに問題がなければ、RIPアヘッドモードで先に全ページのRIP処理を行い、生成されたページ画像をHDDに保存し、その後印刷時に順次Meteor boardに送り出すことで対応可能です。Global Graphicsでは、PDFジョブのRIP処理速度の予測を可能にする技術をAIを使用して開発しており、それで開発されたAIモデルをStreamline Directに搭載することを考えており、自動的にRIPアヘッドモードとオンザフライモードとを切り替えることを可能にする予定です。

 ノズル目詰まりなどの吐出問題は、Meteor NozzleFixで補正することができ、特定メーカーのヘッドでは目詰まりノズルの自己検出機能に対応しているので、スキャナやカメラを用いずに不良ヘッドとノズルを特定できるようになります。

 また、サードベンダーの画像検査装置へは、DIRECT QI(オプション)を使用して8-bitのRGBページ画像を希望の解像度で提供可能です。

 このようにSmartDFEは、HYBRID Software Groupの知見を結集したRIPソフトウエアであり、それら技術のIPはすべてグループ内で保有しております。

Gray_final_5C_20230327.jpg

プチブレークするSTEPZのバリアブルPDF生成機能

 今回は、弊社グループ企業であるベルギーHYBRID Software社のラベルとパッケージ用のプリントレディPDF構成アプリケーションソフトであるSTEPZを紹介します。 STEPZは、同社のPACKZをデジタル印刷向けにカスタマイズしたバージョンであり、トラッピングなどの幾つかの機能が外されたPACKZの廉価版といった位置付けの製品です。 最近富にプチブレークしています。

 STEPZは、入力されたPDFの、分析と修正(プリフライト)、ドキュメント構成資産のチェック、設定や機能の追加・変更、テキスト編集、オブジェクトの編集、バーコードと2次元コードの検証・編集・追加、3Dシミュレーションとワープ機能、セッションロールバック機能、バリアブルデータジョブの作成、iC3Dとの連携、そして殖版(Step&Repeat)・面付けなどの機能に対応しています。

STEPZ_new_block.jpg

 プチブレークしている理由は、バリアブルデータジョブの作成と面付けがワンストップで対応できることと、生成されるバリアブルデータPDFの品質の高さと処理速度の速さが高く評価されているためです。

 STEPZは、PDFをネイティブに処理するアプリケーションソフトであり、バリアブルデータの生成はテンプレートとして入力されるPDF内部のプリミティブ(画像、ベクター、テキストなどの基本的図形要素)を入れ替えて作成するので、生成されるバリアブルデータジョブPDFの品質は、テンプレートのPDFと遜色ないものが生成されます。

以下では、バリアブルPDFを作成する例と、その操作ステップを説明します。
1.最初にテンプレートPDF(1枚もの)をSTEPZで開きます。
2.STEPZの「VDPの準備」を開始します。
3.バリアブルデーター情報を含むCSVファイルを指定します。

この例で使用するCSVファイルの内容を以下に示します。

csv_20230323.jpg

CSVファイルの1行目には、各コラムを代表する名称が定義されております。 実バリアブルデータは2行目から保存されています。 PDFのバリアブルオブジェクトとCSVファイルのコラム名称との対応は以下の通りです。

帯部分の色(インデックスカラー) <-> コラム名称:color
 備考: カラー名 -> カラーバリューを指定したカラーマッピングを通してCMYK値が規定されている。
製品名称 <-> コラム名称:module
 備考: 実際にはvdp.data.module+".pdf"として設定されており”コラム名称.pdf”が読み込まれている。
QRコードのデータ <-> コラム名称:QR
帯部分のテキスト <-> コラム名称:language
背景画像 <-> コラム名称:background
右下の数値 <-> コラム名称:number

4.STEPZのデータリンク機能を使用して、PDFオブジェクトとCSVのコラム名称とをリンクします。

VDP_Create_20230323.jpg

5.「VDPの実行」を行い、テンプレートPDF内のオブジェクトを入れ替えながら、バリアブルPDFのページを生成します。 以下の様な複数ページ(開始アイテムとアイテムの数は設定可能です)のバリアブルPDFが生成させます。

VDP_job_20230323.jpg

6.生成されたバリアブルデータを「面付けグリッド」で面付けします。

VDP_Imposed_20230323.jpg

STEPZのバリアブルオブジェクトは、数値、QRコード、バーコード、テキスト、画像、オブジェクトの色等に対応でき、PDFのプリミティブに直接アドレスする形でバリアルブデーターPDFが生成されるので、生成されるPDFの質は大変高品質です。 また、バリアブルデータPDFを高速に印刷する仕組みが SmartDFE で提供されております。 なお、出力アイテム数が多い場合には、CloudflowでVDPの実行をさせると高速に処理できます。

フランスQuadraxis社のソースコードと知的財産権買収について

 ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、当社グループ企業であるベルギーHYBRID Software社は昨年12月1日に、3Dスキャンと画像処理の先駆的な技術を開発したQuadraxis社の破産後、同社の保有していたソフトウエアソースコードと知的財産権を破産管財人から買収したことを発表しました。

 HYBRID Software社のCo-PresidentであるNick De Roeckは以下の様に述べています。
「Quadraxis は19年間に渡り、3Dモデルのキャプチャを簡単にする独自のテクノロジーを開発し、シュリンクスリーブ、エンボス加工された金属、および熱成形プラスチック パッケージのグラフィックデザインのディストーションを簡単にしました。また、パッケージ業界の多くの企業は、自動化されたワークフローでQuadraxis社のテクノロジーを用い、パッケージ生産の手作業を減らし、効率化できました。」と述べています。

 この買収により、Hybrid Software Groupの3DおよびAdditive Manufacturing (付加製造)ソリューションが強化されます。 グループは、Quadraxis社のソフトウェアを、グループの3Dアプリケーションを含む広範なポートフォリオに統合することを計画しています。

ワンパスの高速インクジェット印刷機の印刷品質を改善するScreenProとPrintFlat技術

 今回は、数々の受賞歴があるワンパスの産業用高速インクジェット印刷機の印刷品質を改善する英国 Global Graphics Software社のScreenProとPrintFlat技術について簡単に説明します。

 通常、高速のワンパスインクジェット印刷機では、固定したプリントヘッドに直交するように印刷メディア(用紙、フィルム、布等)を高速に搬送しながら印刷していくが、横方向に配列されるインクジェットヘッド間の濃度バラツキや、同一インクジェットヘッド内での濃度バラツキ(スマイル現象)により、縦縞(バンディング)が見える問題が往々にして発生します。この問題を解決するために開発されたのがPrintFlat技術(ScreenProのオプション)であり、RIPで生成されたCMYKの8-bitコントーンイメージデータをスクリーニング処理を適用する前に補正します。また、モットリング(オレンジの皮効果)やチェーニング等の問題を解決するため、インクジェット専用に最適化されたマルチビットスクリーニング技術(1-bitの他2-bit, 4-bitにも対応可能)がScreenProであり、PrintFlatで濃度補正されたCMYKコントーンイメージデータを高速にスクリーニング処理できます。これら技術は、すべてソフトウエアで実現されているので、特別なハードウエアは不要です。また、当社別製品であるSmartDFEに組み込まれているScreenProでは、ページ分散で複数のScreenProで高速に分散処理できるので、オンザフライで高速に印刷しながらスクリーニングをかけることを可能にしています。

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