大きな伸びが期待される Web to Print
インフォトレンズの調査によると、アメリカの印刷会社が Web to Print を導入していいる割合は、2007 年で 56% に、EU では 30% に上っているとのこと。それに対し、日本における普及率は 2008 年時点で 4% とのことである。しかしながら、Web to Print の仕組みが理解され、ネットで物を購入することに抵抗の無い世代への世代交代が進むにつれ、日本でも間違いなく底辺の顧客/市場を開拓しながら Web to Print が定着することは間違いない。そこで、参考になる例として、急成長している Vistaprint 社 (Nasdaq: VPRT、本社:Bermuda) を紹介しよう。(詳細は、Vistaprint 社の Web サイトを参照されたい。)
Vistaprint 社の 2008 年度の売り上げは約 $400.7M であり、前年より 57% 増えた。2004 年の売り上げが $58.5M であったことを見ても、いかに急速に成長しているかが伺われる。 Vistaprint 社は、グローバルな印刷企業であり 1600 万以上の顧客をワールドワイドで持っている。日本語を含め、19 ヶ国語に翻訳された Web サイトを通し、120 以上の国でビジネス展開している。ビジネス製品は、招待状、封筒、名刺、パンフレット、ポストカードからカスタマイズされたギフト製品に至る、さまざまにカスタマイズできる製品をオンラインで、SOHO や一般消費者に低価格で提供している。
この例からみても Web to Print の特質は、特定の地域に依存しないことであり、市場はワールドワイドに広げることが可能になる。一方で、今までの営業手法がまったく役にたななくなる。従来の営業やプルーフィングに関わる人件費の大幅な削減と、印刷プロセス全般の効率化により、小ロットにおけるさまざまな印刷業務を受注することが可能となる。これにより、プリントフォーペイ・ビジネスの底辺を広げ、マーケットを拡大することが期待できる。その反面、この領域の(プルーフィングを要求しない)印刷物では、コスト競争が激化することが予測される。製造においても、地域に依存することなく、アジアを含め最もコストメリットの出せる場所で印刷・製造することが求められ、後工程や配送を含め、プロセスやワークフロー全体の自動化が求められる。Web to Print の経営者には、グローバルな経営センスを持ち、印刷技術に関する幅広い知識は勿論の事、IT やネットに関しての高い知識とセンスが求められる。
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