PDF/VT とは

現在、国際標準化機構 (ISO) の TC130 委員会が、可変データ印刷(VDP) のジョブ交換形式の国際規格を策定中だ。PDF/VT は、可変データ印刷もしくはトランザクション文書コンテンツに対する予測できる出力を得るために、すべてのコンテンツ要素とサポートされるメタデータの交換を定義するために、PDF (Portable Document Format) を使用した方法を規定する。



本標準化作業は現在 ISO の「ワーキング・ドラフト」のステージにあるため、現時点の原案が実際の標準の発行までに修正される可能性が大いにある。たとえ PDF/VT タスクフォースが今のドラフトの内容で完全に合意したとしても、ISO の投票プロセスから予測すると、投票のための最終企画案版が作成されるのは早くても2009 年6 月になり、標準の発行はおそらく2009 年末以降(実際には2010 年の初頭)になると思われる。さらに、現行のドラフト規格がまだ流動的であることを考えれば、最終的な標準の発行は更に先になるかもしれない。



PDF/VT (V は "Variable" の頭文字で、T は "Transactional" の頭文字)は、デスクトップ印刷からデジタル プロダクション印刷、そしてトランスプロモ アプリケーションなどにおけるコンテンツに対するリンケージに対応し、トランザクション情報とカラープロモーションデータとを統合でき、さまざまな環境で可変データ印刷に対応できるようにデザインされている。



PDF/VT は、最新の ISO 標準である印刷ジョブの交換形式 PDF/X-4 と PDF/X-5g 上に構築される PDF 形式。さらに、PDF 1.6 のグラフィックモデルをサポートしており、これには透過、ICC ベースのカラー管理、そしてレイヤーが含まれる。



現在 PDF/VT の標準化のステージは、ワーキング・ドラフトなので、現時点で PDF/VT コンパチブルな製品は市場に存在しない。 PDF/VT は、注目に値する標準規格の候補ではあるが、どのようにプロセスを高速化するか、各 RIP ベンダーのインプリメンテーションが鍵を握ることになる。PDF/VT は現行の PDF 仕様をベースに設計されているため、印刷することは容易いが、単に PDF/VT 対応だけでは良し悪しを判断できない。



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