萩さん日記
デジタル印刷と電子ドキュメントの新潮流
スクリーニングの話

様々なページ記述言語(PDL) が存在するが、中間調を表現するための技術に替わりはない。一部の連続調 (コントーン)対応プリンタ(昇華熱転写式プリンタ、銀塩写真式プリンタ等)を除き、印刷デバイスがサポートするインク(含むトナー;便宜上以下インクとして総称)色(通常、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)は、それ自身で階調を表現できないので、スクリーニングと呼ばれる面積階調方式で階調を表現している。スクリーニングの方式は、大別して AM スクリーニング方式、FM スクリーニング方式、そして AM と FM の両方の特性を兼ね備えたハイブリッド スクリーニング方式があります。



AM スクリーニングは、網点とよばれる小さなドットの大きさで階調を表現します。この小さなドットは規則的に並べられ、1 インチ当たりのドットの数をスクリーン線数と呼び、ドット並びの角度をスクリーン角度と呼びます。紙にインクを重ねて印刷する場合、インクが重なった部分は重ならない部分と色が異なります。そのために、もし複数の版で同じスクリーン角度を使用した場合、印刷時に版ズレがほんのわずかでも発生すると、重なり具合の違いによって、印刷結果はまったく異なったものとなってしまいます。また、同じスクリーン角度を複数の版で使用した場合、ほんのわずかな版の傾きにより、モアレ周波数の低いモアレを引き起こします。この問題を回避するために通常各版には異なる角度を設定します。しかしながら角度差を設けることにより、モアレ(干渉縞)が発生するようになります。このモアレ周波数を出来るだけ高くし、人間の目に認識されないレベルにする為に、出来るだけ各版の角度差を大きく設定する必用があります。通常、CMYK の中で人間が最も認識し易い色であるブラックのスクリーン角度を 45°に設定します。これは、この角度が人間の目にとって、最もパターン認識し難いのが理由です。そして、CMYK の中で人間が最も認識しずらい色であるイエローを、人間の目にとって一番鈍感である 0°に設定します。 そして、通常シアンとマゼンタのスクリーン角度をそれぞれ 15°と 75°に設定します。尚、各版のスクリーン角度は、印刷されるものの特質(白人の肌色が多く、黒い部分が少ない印刷物等)により入れ替えることがあります。角度差 30°と45°の部分で、ロゼットとよばれる、花の様な模様が現れます。ロゼットには、センタードットのロゼットとセンタークリアーのロゼットがあります。一つの版を編点距離の半分だけずらすことによりこれらロゼット形状は入れ替わります。印刷ではセンタークリアのロゼットがより好ましいとされておりますが、より大切なのは同じロゼットの形状が統一的に現れる事です。



RT スクリーニングにおける網点は、ハーフトーンセル(網点セル)で構成されます。例えば、16 x 16 のハーフトーンセルの場合、257 (16 x 16 + 1)通りの階調表現が可能となり、2400 DPI でスクリーン角度が 0°の場合のスクリーン線数(1インチ当りのハーフトーンセルの個数)は、150 線 (2400/16) となります。勿論、スクリーン角度が 0°以外の場合は、事情が異なります。133 線 15°の RT スクリーンを指定した場合、現実的に設定可能なスクリーン線数と角度は、135.44 線、16.3895°となります。



RT スクリーニングの悩ましい点は、ハーフトーンセルのマトリクス サイズを大きくすると人間の目に網点が見えてくる。逆に小さくすると階調数が少なくなり、選択できるスクリーン角度も理想的な角度が取りずらくなります。スクリーン角度が理想的な角度から外れてくると、均一なロゼットパターンが得られず、モアレ(干渉縞)が発生します。



より理想的なスクリーン角度を得るために、スーパーセルが考案されました。1 つのスーパーセル内部に複数の異なる形状のハーフトーンセルを持つ巨大セルを構築することにより、より理想に近いスクリーン角度を得ています。セルサイズは巨大にはなりますが、その中の網点のサイズは十分小さくできます。例えば、 133.33 線 15 °のハーフトーンセルを 9 個 (3 x 3) 持つスーパーセルを要求した場合、133.701 線 15.0685 °のスクリーニングを実現できます。これは、前に説明した RT スクリーニングにおける線数、角度に比較し、より理想に近い角度です。実際にはもっと巨大なスーパーセルを構成するので、さらに理想の角度に近いスクリーニングを実現できます。



しかしながら、どんなに理想に近いスクリーン角度を達成できたとしても、イエロー(0°)とシアン(15°)そしてイエロー(0°)とマジェンダ(75°)の版のスクリーン角度の差である 15°のモアレは確実に発生します。この目障りなモアレを解消するために、イエロー線数のみを変えることもあります。モアレの問題を軽減するには、少なくともそれぞれの版の間で 30°以上のスクリーン周波数の差があることが理想です。しかしながら、3 版ならば、30°x 3 = 90°で実現が可能ですが、4 (CMYK) 版以上の場合には、30°の角度を得ることは不可能です。



網点の形状は、スポット関数を入れ替えることにより、単純円形、幾何学形状混成、ダイアモンド型、反転円形、反転楕円形、菱形等、様々な網点の形状を選択できます。単純円形ドットは、中間調のドットゲインを抑える上で好ましい形状ではありますが、シャドー部分の表現力が乏しく、また 78.5% の階調で、隣接する 4 方向の網点が同時に接触し、トーンジャンプを引き起こしてしまいます。ここでは説明しませんが、それぞれの網点形状には一長一短があり、印刷するものの特質に合わせて、最適な網点形状を選択する必要があります。



AM スクリーニングは、フラットなトーンでスムーズな中間調のトーンが得られる。一方、ディテイルの再現性に難があり、モアレやトーン ジャンプの注意が必要だ。基本的に4色 (CMYK) 用のスクリーニングといえます。



最近の印刷デバイスでは、より広いガモットを得る為に、4 色以上のカラーをサポート(CMYK + オレンジ + 緑 + 青紫 の 7 色インクを使うハイファイ印刷や、PANTONE の CMYK + オレンジ + 緑 の 6 色インクを使用したヘキサクローム印刷)する印刷デバイスがあります。通常、CMY の中の 2 色を混ぜる場合、色が濁り、彩度が低くなるが、CMY の補色を備えることにより、2 色を混合する必要が無くなり、結果としてガモットを格段に広くすることが可能になります。しかしながら、色版数が増えるに伴い、各カラー版間のスクリーン角度の差を十分大きく取れなくなり、モアレの問題に直面します。一方、CTP 機器の普及(CTP はフィルムを使用せず、刷版を直接出力する)により、ドットゲインを低く抑え、制御することができるようになりました。このような背景により、モアレの発生しない FM スクリーニングが脚光を浴びました。 結果、画像のディーテイルを精細に表現でき、ランダムに配置されるドットにより異なるインク同士の重なりを抑制できることにより彩度を高くすることができ、ドットが不規則に並ぶのでモアレが発生しなく、そしてインク量を減らす(10 %~ 20%)ことが出来る、FM スクリーニングが広く用いられるようになりました。



代表的な FM スクリーニングとして Global Graphics が特許を有する Harlequin Dispersed Screening (HDS) があります。同社の HDS は多くの印刷機器メーカーにライセンスされております。FM スクリーニングを用い、最良の品質を得るためには、FM スクリーニングとターゲットの印刷デバイスが共に最適化されていることがとても重要です。



FM スクリーニングは、機器との最適化が得られていない場合、平網で少しざらつく感じがありますが、現在ではスクリーニングの改善により序所に改善されてきております。ディテイルの再現性に優れており、モアレやトーン ジャンプが発生せず、4 色 以上に対応可能なスクリーニング技術です。一方、ドットゲインが大きいのが特徴です。逆に言うとトーンカーブの補正によりインクを節約(10% ~ 20%) できる方式です。また方式的に彩度を高くすることができ、ハイファイ印刷やヘキサクローム印刷との組み合わせで、更に広いガモットに対応できます。



AM と FM を組みあわせたハイブリッド スクリーニングが実用化されております。通常、ドットゲインの影響の大きい中間調に AM 的スクリーニングを用い、ハイライトやシャドー部分には FM 的スクリーニングを用いる方式です。それぞれのハイブリッド スクリーニングには、それぞれ異なる特徴があり、ハイブリッド スクリーニングの一般的な特徴を総評するのはとても困難です。



また CMYK については AM スクリーニングを用い、Orange や Green に FM スクリーニングを使うヘキサクローム印刷が用いられることもあります。



スクリーニングにより高い品質を得るには、スクリーニングと印刷デバイスの両方において最適化が欠かせません。

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