PDF ファイルの作成方法

通常 Windows 環境上で、PDF ファイルを作成するには、以下の方法が使われます。



1.GDI 型のプリンタ ドライバを使用し、GDI 形式を PDF に変換する。



この方式では、GDI 型のプリンタ ドライバに GDI 形式から PDF に変換する変換エンジンを搭載し、アプリケーション ソフトウエアからの印刷で、PDF ファイルを作成します。GDI 形式のプリンタ ドライバでは、RGB カラースペースにしか対応できない為、RGB に限定された PDF ファイルとなります。また、PostScript をベースにしている EPS (Encapsulated PostScript) ファイルを取り扱うことが出来ません。



2.PostScript プリンタ ドライバを使用し、GDI 形式を一旦中間 PostScript 形式に変換し、その後 PDF に変換します。



この一連の変換処理は、シームレスに連携して動作するので、ユーザーは中間形式である PostScript を意識する必要はありません。ユーザーは、アプリケーション ソフトウエアから PostScript 形式のプリンタドライバに印刷を行うことにより、PDF ファイルを作成します。一部アプリケーションは、PostScript 形式を直接生成(GDI の仕組みを経由せずに)できるものもあり、パススルーの仕組みにより GDI の制限を受けずに PDF ファイルを作成できます。最新の PostScript 3 形式は、約 20 年前に開発された GDI 形式よりもリッチなグラフィックスに対応しており、また PDF は元々、PostScript 形式をベースにして開発されているので、パススルーにより品質の高い PDF ファイルを作成できます。CMYK カラースペースや EPS ファイルにも対応できます。



3.アプリケーション ソフトウエアから直接 PDF ファイルを作成する。



この方式では、PDF の能力をフル活用した PDF ファイルを作成できるが、開発には PDF の深い知識と多くの開発努力が必要です。グラフィックアートで使用されるプロフェッショナル アプリケーション ソフトウエアでは、多くのケースで直接 PDF ファイルを作成しております。この方式では、PDF ファイルの作成を直接制御できるので、PDF の様々なエコシステムを組み込むのに適しています。この方式では透過を含む最新のグラフィックスに対応した PDF ファイルを作成できます。



■ 次世代の PDF ファイル作成方法



Windows Vista 上で、Win32 アプリケーションを使う場合には上記 3 種類の PDF ファイル作成方法が引き続き使われます。しかしながら、Windows Presentation Foundation (WPF) アプリケーションでは、リッチなグラフィックスに対応した XPS ファイル (XPS Spool File) を直接生成するので、XPSDrv プリンタ ドライバで XPS 形式から PDF 形式に直接変換するのが、品質を保持する上で好ましいと考えられます。従来の GDI プリンタドライバ型の PDF ファイル作成も引き続き使用することも可能ですが、WPF 対応アプリケーション ソフトウエアからは XPS-to-GDI Conversion Path (XGC) を通す必要があり、せっかく XPS で強化されたリッチなグラフィックス、たとえば透過、RGB 以外のカラースペース、スムーズなグラデーション等が失われ、品質の高い PDF ファイルを作成することができません。 勿論、アプリケーション ソフトウエアから直接 PDF を作成する場合には、引き続き品質の高い PDF を作成できます。

コメント

非公開コメント