PDF 2.0仕様の概要と早期対応が進められる理由

 PDF 2.0が最初のISO標準(ISO 32000-2)として2017年8月に発行された。 従来PDF 1.7仕様の中には曖昧もしくは定義されていない項目が多く、多くのベンダのPDF製品では僅かに異なる実装を行うことがあった。 PDF 2.0の最大の貢献は、それら不明確であった仕様の明確化を行い、異なるベンダ製PDFツールを用いた製品間の互換性を高めたことにある。 したがって、PDF 2.0に準拠した環境でPDFを交換することにより、ポータビリティを最大化できる。 また、PDF 2.0では仕様の拡張も行われている。 印刷に関係無い仕様の拡張もあるが、印刷に関係した仕様の拡張もある。 印刷に関係した拡張には、ページレベルで出力インテントを切り替える、黒点の補正(Black Point compensation)対応、カラースペースの継承、透明の改善、ハーフトーンに関する変更がある。 また先にも述べたが、将来のPDF/X-6やPDF/VT-3仕様ではPDF 2.0の仕様をベースにするようだ。
 印刷に関係しない部分の改善で、最も大きな改善点はアクセシビリティだ。おそらく、官公庁や大企業ではPDF 2.0の対応が早期に進められる最も大きな理由になるかもしれない。 勿論PDF 2.0を直接印刷するにはPDF 2.0に対応したインタプリターが必要になる。先にも説明したが、PDF 2.0のAES-256暗号化は、Extension Level 3 で規定されたのものと互換性がなく、さらにパスワードがユニコードを使用することになっているので、AES-256暗号付きのPDF 2.0は従来のPDFリーダーでは開けないと思われる。
 グローバルグラフィックスのHarlequin 12は、PDF 2.0に対応した最初のメジャーなRIPであり、また当社のマルチプラットフォーム対応の電子ドキュメント技術であるMako SDKもPDF 2.0に対応している。 これら製品に興味がある場合は sales@globalgraphics.co.jp までご連絡ください。

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