複合機、中国国内での設計・製造要求

 パソコン、テレビ、白物家電、携帯電話などはすっかり海外メーカーにシェアを取られて久しいが、まだ国内企業が頑張っている領域に複写機やプリンタがある。これらの機器には、長い歴史をかけて醸成されたノウハウが詰まっており、スクラッチでゼロから開発することが困難な製品である。

 市場で販売されているこれら製品では、Made in Chinaとなっている製品も多くあるが、多くの場合日本で設計・開発されたものを中国で製造している製品であり、技術が流失しシェアを失った他の商品の轍を再び踏まないように技術の流失を回避してきた。

 ところが、最近中国は外国オフィス機器メーカーに中国国内での設計・開発を求める新規制についての国家規格を記した草案を発表した。読売新聞によると、同社が入手した同規範の草案では、政府などが入札で購入するオフィス設備について「(中国)国内で設計、開発、生産を完成すべきだ」と明記しているそうだ。 対象となるオフィス設備としては「主に印刷、スキャン、ファクス、コピーの一つ以上の機能を持つ機器」と具体的に例示している。したがって、複写機だけでなく、オフィス用のプリンタにも適用されるのかもしれない。同規格は「推奨」(日本産業規格(JIS)の様な)の性格を持つようであるが、中国の「推奨」は「法令法規で引用されることにより強制化される場合があり、実態上は強制に近いものになる可能性がある。

 日本の複写機メーカーが中国での設計・開発にどう呼応するかどうか判らないが、たとえ一部の技術が流失しても、複写機の中の技術の裾野は非常に広く、個人が持ち出せる技術には限りがある。そんなに簡単に中国のメーカーが新規にゼロから開発し参入できるものでもない。またサポートやサプライネットワークを新たに独自に構築し、オフィス複写機ビジネスにこれから参入したいと考える企業があるかどうかは疑問だ。

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