高速バリアブルデーター印刷

 これまでで面付けされたバリアブルデータージョブPDFが作成されました。 今回はこの10,000枚あるラベル(1,250ページジョブ)をどうしたら高速にワンパスの高速インクジェット印刷機でオンザフライでRIP処理しながら印刷できるかを説明していきます。

 RIPは高速性で大変高い評価を得ているHarleqin Core RIPのScalable RIPを使用します。さらにVariDataという仕掛けを使用してバリアブルPDFジョブの高速印刷を実現します。

 世の中にはさまざまなバリアブルデータージョブが存在しますが、殆どがポーションバリアブルと呼ばれる顧客の名前・住所、QRコード、Serial No.などのページの一部だけがバリアブル情報となっているバリアブルデータージョブです。 今回は、このポーションバリアブルデータージョブを高速に印刷する仕組みを、イグザンプルのワインのラベル印刷ジョブを例に説明してまいります。

 VariDataを使用すると、各ページのRIP処理を開始する前に、RIPはPDFジョブ全体を調査し、各ページで共通となっているグラフックオブジェクトとバリアブルオブジェクトを識別します。 そして、まずページで共通となっているグラフィックオブジェクトのみのRIP処理を行いページ背景画像としてメモリー上にキャッシュします。 そして各ページで異なるオブジェクトのみをバリアブルオブジェクトとして毎ページRIP処理し、共通の背景画像と高速にマージしながら印刷を行う仕組みとなります。 今回のイグザンプルのワインボトルラベルの印刷ジョブでは、Serial No.右の番号部分のみがバリアブルオブジェクトとなるので、極めて効果的にページ生成が行われます。

 以下の図が背景画像で、赤枠で囲まれた箇所にバリアブルの情報0000001, 0000002, ..
などの数字がバリアブル情報としてRIP処理され高速に合成されます。

VariData背景画像

 VariDataには内部VariDataと外部VariDataという2つのタイプのVariDataがあり、ページ合成の処理を含め全てをソフトウエアで実行するのが内部VariDataで、合成処理をハードウエアで行うものを外部VariDataと呼んでいます。

 尚、今回のラベルデザインPDFを内部VariDataをOnにした場合とOffにした場合のRIP処理速度(1200 x 1200dpi, 8-bit contone)は、CMYK出力(Gold, Gold EmbossはCMYKに変換)の場合、内部VariData Off時は7.1m/分であるのに対し、内部VariData On時は211m/分と約29.6倍高速になりました。 また、CMYK + Gold + Gold Emboss 出力時は、内部VariData Off時は6.9m/分であるのに対し、内部VariData On時は134m/分と約19.4倍高速になりました。 使用したPCは、PROACTIVE PC Intel i9 3GHz 18 core 64GB RAMです。尚、入稿されたPDF内部の画像をダウンサンプルしていないので、ダウンサンプルすれば内部VariData Off時の処理速度はもっと高速になるとは思いますが、内部VariData On時に、1200x1200dpiでの印刷が200m/分に達するのはとても圧巻です。

注意: 上記の例における内部VariDataの効果は一例であり、処理時間と改善率は、使用する印刷PDFジョブの構成、使用するRIPコア数、PC内部のCPUコア数やメモリ容量により変わります。 

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