ワンパスの高速インクジェット印刷機の印刷品質を改善するScreenProとPrintFlat技術

 今回は、数々の受賞歴があるワンパスの産業用高速インクジェット印刷機の印刷品質を改善する英国 Global Graphics Software社のScreenProとPrintFlat技術について簡単に説明します。

 通常、高速のワンパスインクジェット印刷機では、固定したプリントヘッドに直交するように印刷メディア(用紙、フィルム、布等)を高速に搬送しながら印刷していくが、横方向に配列されるインクジェットヘッド間の濃度バラツキや、同一インクジェットヘッド内での濃度バラツキ(スマイル現象)により、縦縞(バンディング)が見える問題が往々にして発生します。この問題を解決するために開発されたのがPrintFlat技術(ScreenProのオプション)であり、RIPで生成されたCMYKの8-bitコントーンイメージデータをスクリーニング処理を適用する前に補正します。また、モットリング(オレンジの皮効果)やチェーニング等の問題を解決するため、インクジェット専用に最適化されたマルチビットスクリーニング技術(1-bitの他2-bit, 4-bitにも対応可能)がScreenProであり、PrintFlatで濃度補正されたCMYKコントーンイメージデータを高速にスクリーニング処理できます。これら技術は、すべてソフトウエアで実現されているので、特別なハードウエアは不要です。また、当社別製品であるSmartDFEに組み込まれているScreenProでは、ページ分散で複数のScreenProで高速に分散処理できるので、オンザフライで高速に印刷しながらスクリーニングをかけることを可能にしています。

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インクジェットヘッドのノズル不良の自己検知

 今回は、産業用インクジェット用のインクジェットヘッドコントローラーボードのメジャーなサプライヤーであり、また弊社グループ企業でもある英国Meteor Inkjet社が昨年の11月29日にプレスリリースした「インクジェットノズル状態検出(Inkjet nozzle status detection)」に関する米国特許 (米国特許第 11,504,966 号)について簡単に説明します。この特許はピエゾ励起後のノズルからの電気フィードバックのリアルタイムモニタリングを使用して、詰まりしているノズル、または目詰まりしそうなノズルを検出するもです。

 インクジェットヘッドの吐出に関連した問題に対処する従来の方法の多くは、ノズル障害を検出できるパターンを実際に印刷し、その結果を目視もしくはスキャンニングして不良ヘッドとノズルを特定するもでした。 しかしながら、高速で動作するシングルパスインクジェット印刷機の場合、もしくはノズルの故障が致命的な結果をもたらすアプリケーションでは、既存のインラインイメージングソリューションは複雑すぎ、通常大きなコストがかかります。さらに予知保全ができません。この特許は、不良ノズルの特定に際して、スキャナーやカメラが不要となるため、現状避けて通れないインクジェットノズル不良対策に対し、オンザフライで検出し自動的に対処できる可能性を秘めております。 ただし、すべてのインクジェットヘッドノズルの動作状況をテストするためには、全ノズルの励起が必要となるので、テストパターンの吐出が定期的に必要になるかもしれません。 尚、特定された目詰まりノズル、もしくは調子の良くないノズルは、完全にオフにして、Meteor InkjetのNozzleFix機能を用いて、近接するノズルで補完することができます。

イギリスに出張していました

 久しぶりにイギリスの Global Graphics Software 本社と Meteor Inkjet 社を訪問してきました。 コロナウィルスの蔓延期間は一切出張していなかったので、ほぼ3年ぶりの訪問でした。 飛行機は満席で、コロナの終息感があり、日本にも以前の日常が戻ってきたって感じです。 以下は、Global Graphics Software のオフィスの写真です。 日本より5°ぐらい気温が低く、少し寒々とした写真となってしまいました。 Global Graphics Software のオフィスはケンブリッジ郊外のとても閑静な Cambourne Business Park 内にあります。 しばらくブログのアップデートをさぼっていましたが、また再開します。
 
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グローバルグラフィックス株式会社、20周年の記念日を迎える

 グローバルグラフィックス株式会社は、2003年2月20日に設立されましたので、本日20周年の記念日を迎えることとなりました。 これもひとえに、皆様のご支援の賜物です。 この場を借りて深く感謝申し上げます。 今後ともいっそうのご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 敬具

STEPZとiC3Dの連携機能が強化されました

 HYBRID Softwareの、デジタル印刷機をターゲットとしたラベルとパッケージ用プリントレディPDFの構成アプリケーションソフトであるSTEPZのv8.5.0とiC3Dのv8.5.0からSTEPZとiC3Dの相互運用が強化されました。これにより、STEPZで開いている印刷用のデザインをiC3Dに送ったり、iC3Dの3Dデザインで使用されているラベルやパッケージデザイン(.ic3ファイル内に埋め込まれている)をSTEPZ側に取り込んだりすることが簡単に出来るようになりました。

旧バージョンブロック図:

STEPZ_block_20230216.png

新バージョンブロック図:

STEPZ_new_block_20230216.png

 これによりSTEPZを使用したプリントレディPDF構築フローの途中で、印刷に使用する実デザインファイルを使用して、3Dシミュレーション画像やムービーを作成し、印刷の開始前にブランドオーナーの承認を得ることができるようになります。

STEPZについて
STEPZは、通常1ページのPDFやAIファイルを受け取り、印刷で問題を起こすコンテンツや構成が含まれていないかをチェック・修正し、印刷機で印刷できるように面付・殖版を行い、マーク等を追加できるデジタル印刷用のプリントレディーPDF構築用のアプリケーションソフトです。姉妹製品としてトラッピングに対応したフレキソやグラビア印刷用のバージョンPACKZがあります。どちらもバリアブルデーター印刷用のPDF生成機能にオプションで対応しており、テンプレートとCSVファイルからバリアブルデーター用のPDFを作成して、面付けを行うことができます。 バリアブルデーターPDF生成の高速性で大変高い評価をいただいております。 詳しくは、sales@globalgraphics.co.jpまでご連絡ください。

iC3Dで3Dオブジェクトの材質を編集

 iC3Dのレイトレーシング機能は、前のブログで簡単に説明しましたが、マテリアルライブラリで簡単に素材の色は勿論の事、材料の質感を変えることができます。

 以下の例は、なめらかな材質を指定した例です。

Shine_20230216.jpg

 以下の例は、マット風の材質を指定した例です。

Matte_20230216.jpg

iC3Dのレイトレーシング機能

 iC3Dはレイトレーシングに対応しており、3Dオブジェクトの素材や光源や周辺画像を設定できるので、光の反射を利用したより現物に近い画像を作成できます。

 以下の例では、右上のベーシックな光源を設定し、反射しているボトル画像を作成した例です。

Basic_20230215.png

 以下の例では、右上のオフィスの360°カメラ画像を反射しているボトル画像を作成した例です。

306deg_camera.png

 このようにiC3Dを使用すれば大変リアルで高品質な3D画像を作成でき、プランドオーナーとのデザインワークフローのPDCAループを高速に、またより多く回すことができ、3Dデザインをインターネットを通して共有できるので、デザイン承認プロセスの時間とコストを低減することが可能となるソリューションです。 また、実物が出来るのを待つこと無く営業活動を開始できるので、早期に利益を上げることが可能となります。 生成される3D画像は大変高品質かつ高解像度です。

空飛ぶボトル(Flying Bottle)

 iC3Dを使用すれば、モックアップを作成することなく、3Dモデルを作成し立体的なデザイン出来栄えをコンピューター上でシミュレーションできます。 以下は、作成された3D画像を実在する背景写真画像の上に配置した例です。 実在するボトルに見えます。

iC3D_final.png


 さらにiC3Dを使用すればムービーを作成することもできます。 以下はその作成例です。



 また、page2023のグローバルグラフィックス(株)ブースの前で出展されていた(株)ジュリアジャパン様のブースで展示されていた(株)Life is Style社のPhantom 3D Hologram Display上で上記3Dムービーを表示していただきました。 以下はその展示状況のムービーです。



 iC3Dで作成された3Dムービーの新しい用途が見えてきました。 実際に空中にボトルが浮いており、回転しているように見えます。 繰り返しになりますが、ボトルは実在しない3Dシミュレーションで作成された3Dデザインです。

page2023を終えて

 皆様のご支援のおかげをもちましてpage2023を成功裏に終えることができました。 page2023の来場者数は、前回page2022の壊滅的な結果から比べかなり改善してきたけれども、皮膚感覚としてはまだコロナ前の1/3ぐらいかなといった感触でした。 昨年開催されたIGAS2022からの合間が短すぎるのも原因の一旦かと思いますが、今回の結果は、想定の範囲内でした。

 弊社ブースにご来場いただきました方々との情報交換では、特にオフィス系の印刷機器を開発してきた部門の方が、新しい利益の源泉を求め調査のためにpage2023展に来られた方が多いいなとの感触を受けました。 おそらく3Dなどの弊社の展示内容から新しいアイディアに結び付けられた方々も多いかなと思いますが、何でもかんでも自社内で開発するマインドを持つ日本の大企業も多いので、どれだけ弊社との協業関係に発展するかは分からないとの思いは相変わらずです。 一方、開発コストや製品化まので期間を考慮し、自社内でスクラッチ(1から)で開発することへの限界を感じている企業も多く、SmartDFEの様なブランディング可能で半完成のコンプリートソリューションへ需要もかなりあると思いました。

 今回のpage2023で配布したブロシャーのPDF版を以下サイトからダウンロード可能です。

http://www.globalgraphics-jp.jp/

雑誌と新聞に記事が掲載!

 月間プリテックステージ2023年2月号の注目ブースに「グループ全体の製品・技術の取り扱いを強化」「パートナー企業へ提供する付加価値の向上を追求」という記事が掲載されております。 また、プリテックステージニュース第2137号にそのサマリ記事が掲載されております。